Yamasaki 2014年9月・10月の我が家の出来事 - 22


芸術の秋(オルセー美術館展及びチューリヒ美術館展、国宝展、菱田春草展)- 4

菱田春草展1

芸術の秋第三弾。東京国立近代美術館で開催の菱田春草展である(写真)。黒猫が有名な菱田春草だが、未完の「落葉」と「早春」という2つの作品に感動し、久しぶりに図録を買い求めてしまった。図録ベースに紹介する。なお常設展も、ここでは紹介しないが、東山魁夷や佐伯祐三の名品を見れる素晴らしいものである!


菱田春草展2

菱田春草展3

「落葉<未完>」(上段写真、下段写真)。「落葉」という題の同じ六曲一双の屏風や絵は他にもあるので、猫と同じく作者の好みの題材だと思う。そして、それらは皆それこそ落ち葉が描かれている。しかし、この屏風には落ち葉が描かれていない。それが<未完>とつけられている理由だと思うのだが、どうもこれでもういいんじゃないかと作者自身も思ったような気がする。なぜなら、この空白部分によって、落ち葉で表現したかったものが、それ以上の説得力をもって表されていると感じるからである。


菱田春草展4

菱田春草展5

菱田春草の屏風における絶筆とされている「早春」(上段写真、下段写真)。「落葉<未完>」とは違って、早春という題にぴったりの生命の熱気も感じられた。立派な絹地の金屏風であることも原因の一つかもしれないが、作者の気迫がこもった筆のなせる技であろう。


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