Toru クラシック音楽 - 協奏曲 -


協奏曲は大好きである。なんといっても独奏器楽とオーケストラの両方が一度に聞けるし、その掛け合いも愉しい。そういう意味では、楽器としてはオーケストラにははいっていないピアノがいい。でもバイオリンもいい。いやいい曲、いい演奏であれば何でもいい。という訳で紹介する曲が多くなってしまった。

バロック音楽がまず楽しい。いったいどれだけの協奏曲が存在するのかわからないが、例えばイムジチの演奏、ホリガーのオーボエ独奏の「オーボエ協奏曲集」というCDは愉しい。有名なマルチェッロのほか4人の作曲家のオーボエ協奏曲が収められているが、どれもいい曲である。「オーボエ協奏曲」といえば、エマニュエル・バッハの「オーボエ協奏曲」も佳曲である。それからペトリのリコーダーによるテーレマンとヘベーレの「リコーダー協奏曲集」も、あの小中学校で習ったリコーダーがこんなに素晴らしい楽器だったのかと見なおさせてくれるCDだ。ズーカーマン指揮聖ポール室内合奏団の演奏。そしてコレッリの「合奏協奏曲集」も愉しい。そういえば、そのコレッリの「合奏協奏曲8番」は「クリスマス協奏曲」という別名をもつが、コレッリやトレッリの「クリスマス協奏曲」という名前を持つ協奏曲ばかりを集めたLPを持っていてよくかけていた。いずれもイムジチの演奏。

さて、協奏曲ではヴィヴァルディをおげなくてはならないのだろうが、ほとんど聞かない。有名な「四季」「調和の幻想」は一応イムジチとホグウッド指揮エンシェント室内管の2種類のCDを持っているのだが、結局来客があったときに請われてBGMとしてかけるぐらいである。「フルート協奏曲」しかり。それよりかは、「恋人」「牧歌風」とかの短い曲がはいったカラヤン・ベルリンフィルのディスクのほうを聞くことのほうがまだ多い。

バッハでは、まず「ブランデンブルグ協奏曲」だ。元気がでる曲集なのでよく聞いた。何種類か聞いた演奏の中では、LP時代のブリテン指揮イギリス室内管の演奏が温かみがあってよかった。リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管のものもよく聞いたがこの曲の場合は少し硬い気がしないでもない。それから2曲の「ヴァイオリン協奏曲」そして「2つのヴァイオリンのための協奏曲」。どれもオイストラフ父子とシェリングの演奏でLP時代によく聞いた。それからバッハの「ピアノ協奏曲集」は、違う分野の曲の転用というものの、当然好きだ。特に「第5番」が好きである。いや皆いい。演奏はピアノではグールド、チェンバロではリヒター。そしてそれに続く、「2台、4台のピアノのための協奏曲」も愉しい。LPではハイラー他の演奏だったと思うが、CDはベーリンガー他の人が演奏するナクソス盤で、これにはもとになったヴィヴァルディの曲もはいっていて興味深い。

ヘンデルの「合奏協奏曲集作品6」はもう「ブランデンブルグ協奏曲」より好きである。こちらのほうは元気になるうえ、さわやかな気分にしてくれる。「第5番」と「第6番」が有名のようだが、「第1番」の出だしからしてすばらしい。そして最後まで続く。CDではリヒター指揮ミュンヘン・バッハ室内管のものを現在は聞いているが少し硬い気もする。最近評判のいいピノック指揮イングリッシュコンソートのCDもあるが、流麗であるものの少し上品に過ぎるような気もする。昔LPででていた、コレギウム・アウレウム合奏団の演奏がフランツ・ヨーゼフマイアーのバイオリンがつややかで大変よく聞いた。CDではでていないようでとても残念である。さて、「合奏協奏曲集作品6」が大好きになったおかげでヘンデルの他の協奏曲も聞くようになった。その中では「ハープ協奏曲」が素敵だ。ロブレス独奏ブラウン指揮ASMFの演奏であるが、力強い。時に琴みたいな音がする。(なお、このCDにはいっているBoieldieuという作曲家の「ハープ協奏曲」も特に第3楽章が忘れがたい魅力を持っている)。そして「トランペット協奏曲第10番」も素晴らしい。アンドレとリヒター指揮ミュンヘン・バッハ管の組みあわせである。「オルガン協奏曲集」もあまり聞かないが悪くない。特に作品7の5番とかは好きである。リヒターのオルガン・指揮による演奏。

「ウイーンのハイドン」というCDがある。ハイドンの「トランペット協奏曲」「チェロ協奏曲第2番」「ピアノ協奏曲第11番」がはいっているのだが、これは素敵な名前、そしていい選曲だと思う。皆とても好きな曲である。「ピアノ協奏曲第11番」はアルゲリッチが弾く別のCD(オケはロンドンシンフォニエッタ)で聞くとまた格段にすばらしい。「チェロ協奏曲」は第1番もいい。デュプレ・バレンボイム指揮イギリス室内管の演奏。そしてホフマンの作とも言われる「フルート協奏曲」も特に第2楽章が素敵な曲である。なお、同じCD(クイケン・ターフェルムジークによる演奏)にはいっているハイドンと同時代の作曲家シュターミッツ(父子)の「フルート協奏曲」、リヒターの「フルート協奏曲」も素敵な曲だ。

モーツァルトの協奏曲となるとこれはもう名作目白押しなのだろうが、はっきりいって似たような感じの曲が多いので、聞くものはそれほど多くない。まずは「ピアノ協奏曲」だが、交響曲と同じように短調の20番と24番、ハスキル・マルケヴィッチ指揮コンセールラムルー管の演奏で聞く。長調では23番と27番である。それぞれペライア演奏指揮イギリス室内管およびバックハウス・ベーム指揮ウイーンフィルの演奏。それから第2楽章が特に素敵な21番。カザドシュ・セル指揮クリーブランド響のもの。それから「2台のピアノのための協奏曲」も愉しい。CDはバーンスタイン指揮ニューヨークフィルの演奏だが、LP時代はジャズのチックコリアがピアノを弾いた演奏を持っていてそれは素晴らしかった。その他の協奏曲では「フルート協奏曲(2曲)」「フルートとハープのための協奏曲」をよく聞く。ニコレ・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管の組み合わせである。昔リヒターというとバッハだとしか思っていなかったときにこのLPを聞いてその素晴らしい演奏に、感激した覚えがある。リヒターはモーツァルトもいい。さて、あとは「クラリネット協奏曲」をプリンツ・ミュンヒンガー指揮ウイーンフィルで、「ヴァイオリン協奏曲3番、5番」をグリュミオー・デイビス指揮ロンドン響で、「ホルン協奏曲(4曲)」をブレイン・カラヤン指揮フィルハーモニア管でといったところ。それと「協奏交響曲K.297B、K364」をそれぞれマリナー指揮アカデミー室内管、セル指揮クリーブランド響で聞く。でもこう書いてくると結構聞いているような、、、。

あまり有名ではないが、モーツアルトと同時代にヴィオッティというヴァイオリン奏者がいて、彼の作曲した「ヴァイオリン協奏曲」はどれも(と言っても全部聞いたわけではないのだが、)モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲」と同程度に愉しい。「ヴァイオリン協奏曲22番、23番」をボベスコ・レーデル指揮の演奏で持っている。

ベートーベンの「ピアノ協奏曲」はモーツァルトのピアノ協奏曲よりよく聞いた。第1番、第2番にはモーツァルトっぽいところがあり、それならモーツァルトを聞いたほうがいいと思うのだが、3番、4番、5番はベートーベンである。特に第5番は豪壮、雄大な第一楽章、一転して繊細な第二楽章、そして躍動感あふれる第三楽章と、本当によくできた曲だと思う。そして聞くたびに元気をもらえる。CDはバックハウス・イッセルシュテット指揮ウイーンフィル、フィッシャー・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管など6種類ほどの演奏で持っているが、LP時代から聞きつけているゼルキン・バーンスタイン指揮ニューヨークフィルの演奏が一番しっくりくるようだ。ベートーベンではもうひとつ「ヴァイオリン協奏曲」も大変好きな曲である。シェリング・イッセルシュテット指揮ロンドン響で聞くのが普通だが、チョン(指揮はテンシュテット)の演奏で聞くと、少し線が細くてちょっとベートーベンという感じがしないが、その研ぎ澄まされた切れのあるヴァイオリンは文句なしにすばらしい。(なお、このCDにカップリングされているブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」でも彼女のすごい演奏が聞ける)。

ウエーバーに「ピアノ小協奏曲」と「ホルン小協奏曲」という2曲の「小協奏曲」がある。いずれも1幕の劇を見るような曲だが、素敵な旋律が随所に出てきて好きな曲である。「ピアノ小協奏曲」はブレンデルのピアノでアバド指揮ロンドン響の演奏。「ホルン小協奏曲」はバウマンの独奏・マズア指揮ゲヴァントハウス管の演奏。

メンデルスゾーンの有名な「ヴァイオリン協奏曲」はあまり聞かなくなったが、それでもたまにチョン・デュトワ指揮モントリオール響の演奏で聞くといい曲だと思う。

シューマンの「ピアノ協奏曲」は名曲だということであるが、好きではなかった。数種類のCDを買ったのち、ようやくリパッティ・カラヤン指揮フィルハーモニア管の演奏を聞いて、なるほどいい曲だと思えるようになった。ただしやはりほとんど聞かない。もっといい演奏があれば好きになるかも知れない。シューマンではデュプレ・バレンボイム指揮ロンドン響の「チェロ協奏曲」もいい曲だとは思うのだがこれもほとんど聞かない。

シューマンのピアノ協奏曲と違ってショパンのピアノ協奏曲は、あまり出来はよくないとのことだが、大好きである。「ピアノ協奏曲」1番、2番ともによく聞く。ショパンとなると基本的にはルビンシュタインのピアノが1番だと思う。少々音は古いが、この2曲も彼の演奏で安心して聞ける。ただし「ピアノ協奏曲」1番にはアルゲリッチの情熱を込めた素晴らしい演奏があるし、「ピアノ協奏曲」2番にはフランソワの情緒たっぷりのしゃれた演奏があり、そちらを聞くことも多い。

リストの「ピアノ協奏曲」1番、2番はどうもなじめない。リストはピアノ小品は好きなのだが、、、。

ヴュータンの「ヴァイオリン協奏曲」は佳曲である。チョン・フォスター指揮ロンドン響の演奏。同じくラロの「スペイン交響曲」もチョン・デュトワ指揮モントリオール響だと聞ける。それからヴィニャエフスキの「ヴァイオリン協奏曲」は1番、2番とも愉しい素敵な曲である。シャハム・フォスター指揮ロンドン響の演奏。

ブラームスの4曲ある協奏曲はいずれも交響曲のようだ。そのなかで好きなのは「ピアノ協奏曲2番」、これをバックハウス・ベーム指揮ウイーンフィルの演奏で聞く。それから「ヴァイオリン協奏曲」。これはハイフェッツ・ライナー指揮シカゴ響の演奏。

サンサーンスは通俗的という理由であまり専門家には好まれない作曲家のようだが、そう割り切って聞けば愉しい協奏曲がけっこうある。まずは「ピアノ協奏曲」。特に2番はわずか17日で作曲したとのことでまとまりがよく、一気に聞ける。そして3番、4番、5番も悪くない。いずれもロジェ・デュトワ指揮のもの。コラール・プレヴィン指揮ロイヤルフィルの演奏も持っている。「ヴァイオリン協奏曲」は、チョンの演奏だと、有名な3番(フォスター指揮ロンドン響)だけではなく、1番(デュトワ指揮モントリオール響)もいい曲のように感じる(2番は聞いたことがない)。でもやはりサンサーンスはそんなには聞かない。

チャイコフスキーはまず「ピアノ協奏曲1番」だ。第一楽章の輝かしさといったらそれは素晴らしい。演奏はだいたいどんなものでも楽しめる。リヒテル・カラヤン指揮ウイーンフィルの演奏は堂々たる感じがよくでているし、アルゲリッチ・コンドラシン指揮バイエルン管のものは元気がよくていい。ホロヴィッツ・トスカニーニ指揮NBC響の演奏も音は悪い(1941年録音)がものすごい。「ヴァイオリン協奏曲」も大好きだ。これも曲がいいので演奏はどれでもいいと思うが、特にチョン・デュトワ指揮モントリオール響の演奏は刺激的で素晴らしい。

ドヴォルザークの協奏曲では、「チェロ協奏曲」を聞く。デュプレ・バレンボイム指揮シカゴ響の演奏またはカザルス・セル指揮チェコフィルの演奏。それから「ヴァイオリン協奏曲」も佳曲だと思う。パールマン・バレンボイム指揮ロンドン響の演奏。

グリーグの「ピアノ協奏曲」は、親しみやすいメロディーがたっぷりはいっていて、好きな曲だ。たぶんどんな演奏で聞いてもいいと思う。CDはオグドン・ベルグルンド指揮ニューフィルハーモニア管の演奏で持っている。感じは全然違うが、グラズノフの「ヴァイオリン協奏曲」も親しみやすい。パールマン・メータ指揮イスラエルフィルの演奏。

シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」はそれほどなじみのある曲でもなく、CD1枚でしか知らないのであるが、そのチョンの演奏(プレヴィン指揮ロンドン響)が興にのった緊張感あるすばらしい演奏なのであげておく。

それに比べてラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」は大好きなので5種類のCDを持っているがどうも全体通してこれだという演奏にまだ出会わない。特に最初の出だしのピアノの部分がアシュケナージ(プレヴィン指揮ロンドン響)しかうけつけない。それ以外の部分ではもっと素晴らしいリヒテルの演奏(ヴィスロツキ指揮ワルシャワ響)があるのだが、何しろ出だしでひっかかってしまうのでだめなのである。3番も有名なようだが、2番で十分なのでCDはあるもののめったに聞かない。

ラヴェルの「ピアノ協奏曲」は、特にその第2楽章のものがなしさが忘れがたい魅力を持つ素敵な曲である。アルゲリッチ・アバド指揮ロンドン響の演奏。もうひとつの「左手のためのピアノ協奏曲」はあまり聞かない。同じフランスのプーランクは好きな作曲家の一人である。いくつかある協奏曲はどれも愉しい。なかでも「オルガン協奏曲」(マルコム・ブラウン指揮ASMF)は全楽章大体安心して(?)きける。「ピアノ協奏曲」(ロジェ・デュトワ指揮フィルハーモニア管)「2台のピアノのための協奏曲」(エデン・タミル・コミッショナ指揮スイスロマンド管)もいいが、どちらも第3楽章は聞くのにちょっと覚悟(?)がいる。

R.シュトラウスの交響詩とか交響曲はそれらのよさがほとんどわからないのだが、協奏曲には聞けるものがある。特に「ホルン協奏曲1番」はいいと思う。バウマン・マズア指揮ゲヴァントハウス管の演奏。それと「クラリネットとファゴットのための二重協奏曲」も楽器のからみあいが愉しい。ケンペ指揮ドレスデン国立歌劇場管の演奏。

プロコフィエフの曲は、昔は「なんだこれは」というような音楽だと思っていたが、最近面白さが少しわかるようになってきた。特に「ピアノ協奏曲3番」は聞いてて愉しい。(他のピアノ協奏曲は聞いたことがないのだが。)でもこういう曲はきっといい演奏でないといやになってしまうのではないかという気がする。聞くのは、アシュケナージ・プレヴィン指揮ロンドン響のもの。「ヴァイオリン協奏曲」の1番、2番も愉しい。これはシャハム・プレヴィン指揮ロンドン響のもの。

プロコフィエフが楽しめるようになるとバルトークもショスタコーヴィチもマルティヌーもマルタンもハチャトリアンもそしてストラヴィンスキーも聞けるようになった。ただし例えばバルトークでもガンガンピアノをたたくのはどうもだめ。ということで「ピアノ協奏曲」では聞けるのは最後の3番のみ。特に第2楽章はいい。アンダ・フリッチャイ指揮ベルリンラジオ放送響のもの。ヴァイオリン協奏曲はだめ。ショスタコーヴィチでは「ヴァイオリン協奏曲1番」はいい。パールマン・メータ指揮イスラエル響のもの。ピアノ協奏曲はだめ。マルティヌーの「ピアノ、ティンパニと弦楽のための二重協奏曲」はいい。サスラック・ゲルト・デプリースト指揮マルメ響のもの。マルタンの「7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲」、特に第2楽章は聞ける。アンセルメ指揮スイスロマンド管の演奏。ハチャトリアンでは「ヴァイオリン協奏曲」の方が有名かも知れないが、気に入った演奏がないので「フルート協奏曲」をあげておく。ランパル・マルティノン指揮ナショナル管の演奏。そしてストラヴィンスキーの「ヴァイオリン協奏曲」はリズム感があって愉しい。パールマン・小沢指揮ボストン響のもの。

現代の曲でも、ロマンティックなものは好みである。例えばゴルトマルクやコルンゴルドの「ヴァイオリン協奏曲」はもうウイーンの香りがいっぱいのロマンティックな曲である。特に後者は、コルンゴルドがたくさんの映画音楽を書いていたせいもあるのだろうが、映画音楽と言ってもおかしくない。パールマン・プレヴィン指揮ピッツバーグ響のもの。それから、ガーシュインの「ピアノ協奏曲」はジャズのような曲だが、結構楽しめる。アントルモン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管の演奏。一方無調のものはやっぱり今でも楽しめない。ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」など、聞くことはできるが「うーむっ」という感じだ。

その他、エルガーの「チェロ協奏曲」は、最初とっつきにくかったが、デュプレ・バルビローリ指揮ロンドン響の素晴らしい演奏のおかげでとうとう好きになった。奇数楽章、特に第一楽章は胸にじーんとくる。

現役では、ロドリゴ。「アランフェス協奏曲」が有名であるが「マドリガル協奏曲」のほうが好きである。特に第8曲のノスタルジックな感じがいい。ロメロ・マリナー指揮ASMFの演奏。


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